外国人が見た近世日本 日本人再発見 竹内 誠監修 山本 博文 / 大石 学 /磯田 道史/岩下 哲典 角川学芸出版 2009 16~19世紀の日本を訪れた外国人が見た、驚くべき日本人の姿!欧米を中心とする外国人が残した多くの資料から立ち現れる日本と日本人、生活文化の諸様相を知る。 目次 日本人の名誉心及び死生観と殉教(日本人の第一印象;十六・十七世紀の日本人論;武士の心性とキリスト教の信仰;大殉教の時代の日本人) 外国人が見た近世日本と日本人―日本型文明社会の成立と発展(官僚としての武士;日本型文明社会の成立;日本型文明社会の発展;日本型文明社会の達成) 十九世紀の日本人(中国人・朝鮮人・日本人;東アジア諸民族の特徴;東アジアにおける日本の位置;文化的優越感なきナショナリズム) 江戸時代における日露関係史上の主要事件に関する史料について(日露関係史上の主要事件に関する史料の概要;ゴロヴニン事件におけるロシア人海軍士官ムール少尉の獄中上表について) 4名の著者が各稿を分担。ただ、各稿の連続性は必ずしもない、各稿完結型である。まずキリスト教が近世支配層にいかに受け入れられたかの非常に分かりやすい説明が当時の外国人(主に宣教師)の文書記録を参照して述べられている。これらの資料から当時の武士社会の思想と合致していた故に急速に伝播した姿が理解できる。これは明治から昭和初期にかけてキリスト教が先ず上層、知識階層に受け入れられ、逆に、その為か諸外国とは異なり未だ一般的社会に浸透できていない事情と重なって見える。第3稿で19世紀東南アジアにおける位置付からの説明があり、欧米対日本という比較に馴れた読者として興味をひかれる。アイヌ、琉球も含めた記述は新鮮。思わず苦笑するのは近世武家政権の官尊民卑と人員過剰な不効率な行政組織についての明治の外国人の指摘の下り。そうかこれは歴史的経緯があり、今も変わらないなと妙に納得させられる。日本人再発見との副題で適切かつ豊富な資料を提供してくれる。著者の解釈をむやみに押しつけない一貫した語り口は好感が持てる。一読の価値あります。(レビュー) #山本博文 #大石学 #竹内誠 #山本博文 #大石学 #磯田道史 #岩下哲典 #人文 #社会 #歴史 #日本史 #江戸時代 #明治 #文化 #異文化 #日本人 #外国人 #宗教 #政治 #本 #BOOK